肩腱板断裂

肩腱板断裂とは

肩腱板断裂は肩を強打したときに多く発生しますが、50才から60才代では自然に腱板が切れて肩が痛み出す場合があります。夜間痛で睡眠がとれないことや、運動痛はありますが多くの患者さんは肩の挙上は可能です。五十肩と違うところは、拘縮、すなわち関節の動きが固くなることが少ないことです。 他には、挙上するときに力が入らない、挙上するときに肩の前上面で軋轢音がするという訴えもあります。
腱板とは肩の関節を安定させる働きをもった4つ筋肉の総称です。この筋肉の一部は肩関節の骨と骨の間にはさまれた所を通っていますので、使い過ぎによってすり切れることがあります。また老化によっても腱が弱くなり切れやすくなります。はっきりした原因がない場合でも、日常生活の中で腱板断裂がおこることがあります。

肩腱板断裂のリハビリ

リハビリは内容が重複する部分が多いですが、大きく分けると保存療法に対するものと、手術後に対するものの2種類があります。

保存治療に対するリハビリ

保存治療の目的

保存治療の目的は、痛みを減らすこと、動きの範囲(可動域)の維持にあります。腱板断裂があっても痛みがあるとは限りません(無症候性)ので、投薬による炎症と疼痛の改善を図ります。疼痛の改善が得られれば、適切な肩の機能のために動きの改善も図らなければなりません。この動きの改善には2つの要素が含まれます。
1つは関節自体の可動性(柔軟性)
2つ目が動かす能力(筋力)
になります。
関節自体の柔軟性がなければ、どんなに筋力があっても、関節は動きません。 また、どんなに筋力があっても、柔軟性がなければ、関節は動きません。よって、この2つの要素はお互いに欠くことの出来ない要素になります。

1.関節の可動性(柔軟性)トレーニング

痛みによって不動となり、関節が硬くなっている場合が多いので、その硬さを改善する必要があります。
その方法は、いわゆるストレッチとなりますが、肩関節は、身体の関節の中でも一番自由度(動きの方向)が高い関節で、多方向への動きが必要となります。ご自分だけで行うことは難しいことが多いので、我々理学療法士や作業療法士がその改善にあたります。(他動運動)

他動屈曲-他動外転

ある程度、動きの改善が見られると、ご自宅での運動も合わせて行なって頂き、その機能の維持と改善を図ります。(自主トレーニング)

バンザイ運動(屈曲)

外ねじり運動(外旋)

2.筋力改善トレーニング

腱板はその機能が肩を動かすことであります。その一部分が損傷しているということは、動かす能力が低下していますので、他の筋肉で代償をしなければなりません。しかし、間違った使い方を繰り返してしまうことで、骨と骨が衝突したり、関節内に余計なストレスを与えることになります。ストレスは炎症を起こし、痛みへとつながる事がありますので、代償的に他の筋肉を使いながら、 正しい運動パターンを学習して行かなければなりません(自動運動)。
この動かす能力でポイントとなるのは、腱板が始まる(起始部)肩甲骨を動かす筋肉の働きになります。 つまり、肩甲骨を動かす筋肉が弱っていると、腕(肩)を動かすことが難しくなります。したがって、この肩甲骨周囲の筋力トレーニングも重要となります。

キャプションキャプション

肩甲骨を外に出す運動(肩甲骨外転)

外ねじり運動(外旋)

内ねじり運動(内旋)

手術後のリハビリ療法

当院では、手術翌日よりリハビリが開始となります。できる限り、痛みを伴わないように、麻酔薬を用いて肩を動かします。 最初は他動的な運動から開始し、徐々に運動方向を増やしていきます。また、筋力トレーニング(自動運動)も縫合した腱板に無理がかからない動きからになりますが、 2週目以降から開始します。入院期間中に全てのリハビリメニューが終了となるわけではないので、 外来通院をしていただきながら、肩の機能回復を図っていきます。具体的なトレーニングは、保存療法と変わりはありません。

リハビリのスケジュール

時期

リハビリの種類

手術前

手術前日に現在の肩の状態(痛み、関節の動き、筋力など)を評価します。

手術当日

手術翌日

手術後のプログラムに則って開始します。リラクセーション、関節可動域トレーニング

1〜3週間

退院、リラクセーション、関節可動域トレーニング、筋力トレーニング

それ以降

外来リハビリ(クリニック)にて継続

3〜6ヶ月

リハビリ終了

※車の運転は、手術をした腕が自由に使える様になるまでは、控えて下さい(おおよそ1ヶ月)。
※仕事復帰は、その内容によって期間が異なります(軽作業で2ヵ月)。