リハビリは内容が重複する部分が多いですが、大きく分けると保存療法に対するものと、手術後に対するものの2種類があります。
保存治療の目的は、痛みを減らすこと、動きの範囲(可動域)の維持にあります。
腱板断裂があっても痛みがあるとは限りません(無症候性)ので、投薬による炎症と疼痛の改善を図ります。
疼痛の改善が得られれば、適切な肩の機能のために動きの改善も図らなければなりません。
この動きの改善には2つの要素が含まれます。
1つは関節自体の可動性(柔軟性)
2つ目が動かす能力(筋力)
になります。
関節自体の柔軟性がなければ、どんなに筋力があっても、関節は動きません。 また、どんなに筋力があっても、柔軟性がなければ、関節は動きません。
よって、この2つの要素はお互いに欠くことの出来ない要素になります。
痛みによって不動となり、関節が硬くなっている場合が多いので、その硬さを改善する必要があります。
その方法は、いわゆるストレッチとなりますが、肩関節は、身体の関節の中でも一番自由度(動きの方向)が高い関節で、多方向への動きが必要となります。ご自分だけで行うことは難しいことが多いので、我々理学療法士や作業療法士がその改善にあたります。(他動運動)
ある程度、動きの改善が見られると、ご自宅での運動も合わせて行なって頂き、その機能の維持と改善を図ります。(自主トレーニング)
腱板はその機能が肩を動かすことであります。
その一部分が損傷しているということは、動かす能力が低下していますので、他の筋肉で代償をしなければなりません。しかし、間違った使い方を繰り返してしまうことで、骨と骨が衝突したり、関節内に余計なストレスを与えることになります。ストレスは炎症を起こし、痛みへとつながる事がありますので、代償的に他の筋肉を使いながら、 正しい運動パターンを学習して行かなければなりません(自動運動)。
この動かす能力でポイントとなるのは、
腱板が始まる(起始部)肩甲骨を動かす筋肉の働きになります。 つまり、肩甲骨を動かす筋肉が弱っていると、腕(肩)を動かすことが難しくなります。
したがって、この肩甲骨周囲の筋力トレーニングも重要となります。
保存療法で改善が得られない場合は、外科的な治療が選択されます。
当院では、関節鏡視下手術で損傷した腱板を修復しております。(関節鏡視下腱板修復術)
手術後は、手術をした部位への負担軽減を目的に、写真の様な固定装具を使用します。 この装具は、2週から3週間装着して頂きます。
当院では、手術翌日よりリハビリが開始となります。
できる限り、痛みを伴わないように、麻酔薬を用いて肩を動かします。 最初は他動的な運動から開始し、徐々に運動方向を増やしていきます。
また、筋力トレーニング(自動運動)も縫合した腱板に無理がかからない動きからになりますが、 2週目以降から開始します。
入院期間中に全てのリハビリメニューが終了となるわけではないので、 外来通院をしていただきながら、肩の機能回復を図っていきます。
具体的なトレーニングは、保存療法と変わりはありません。
| 時期 | リハビリの種類 |
|---|---|
| 手術前 | 手術前日に現在の肩の状態(痛み、関節の動き、筋力など)を評価します。 |
| 手術当日 | なし |
| 手術翌日 | 手術後のプログラムに則って開始します。リラクセーション、関節可動域トレーニング |
| 1〜3週間 | 退院、リラクセーション、関節可動域トレーニング、筋力トレーニング |
| それ以降 | 外来リハビリにて継続 |
| 3〜6ヶ月 | リハビリ終了 |
*車の運転は、手術をした腕が自由に使える様になるまでは、控えて下さい(おおよそ1ヶ月)。
*仕事復帰は、その内容によって期間が異なります(軽作業で2ヵ月)。